よく
「マニュアルって、いくらくらいでできますか?」
と聞かれます。
マニュアル制作費を見積もって欲しい..
・分かりやすくて
・現場で改善できて
・早く安く創って欲しい
・いくら位でやってもらえますか?
ということです。
でも、簡単には見積れないんです。
例えば..
自動販売機にお金を入れると缶コーヒーが出てきます。
これと同じ構造なら簡単に見積できるのですが、
依頼してくださる会社の状況によって、
大きく
・難易度
・制作時間
・アフターフォロー
が変わってきます。
私自身が、対面して状況を聞きながら
どのくらいかかるかじっくり取材して
どのような内容で、どの程度のものを、どのくらいの工期で
ということを確認できればいいのですが。
なかなかそうは行きません。
コスト構造を簡単にまとめてみました。
マニュアルを作成するコストは
1.マニュアル制作(写真・動画・図解などで分かりやすく表現する)
2.仕事内容の明確化(メモや写真で洗い出す、具体的に定義する)
3.仕事の標準化(会社としての統一、誰がやっても同じ成果が出せる)
の3つのコストがかかります。
1.マニュアル制作(写真・動画・図解などで分かりやすく表現する)
仕事を体系化し
・作業の手順
・作業の方法
を具体化して分かりやすく表現することです。
紙媒体や電子媒体など、利用場面を想定して
多様な使い方ができるようにする必要があります。
難しいのは
・仕事を、具体的作業に分割し整理・体系化すること
・仕事を、新人でも誤解なく理解できる表現
です。
図解は、この整理・体系化と分かりやすさに役に立てます。
2.仕事内容の明確化(メモや写真で洗い出す、具体的に定義する)
このマニュアル制作を効率的に進めるために必要なことは、
現場の仕事を分かりやすく
・メモ:普段使っている言葉でどんどん書出す
・写真:言葉で表現しにくい部分を写真で補足
することです。
この作業を、
依頼元の会社でやるか・やらないかで
大きくマニュアル制作会社での作業量が変わります。
制作会社に頼んだからと、まったくやらないと、
制作会社が、現場にはいってすべてを取材する必要があります。
これは、大きなコストとなって依頼会社に返ってきます。
3.仕事の標準化(会社としての統一、誰がやっても同じ成果が出せる)
ここで、もっと大きなコストがあります。
現場に入って仕事のやり方を取材すると
同じ仕事をしているのに
人によって、少しづつ違いがあるということを発見します。
マニュアルは、会社が組織として
どう成果を生み出すメカニズムを共有することがテーマです。
違いがあるので、どちらかを選んで統一すればいいのですが、
簡単に、Aさん方式、Bさん方式を選ぶことができません。
全て片方が良いわけではなく、良い部分も・効率の悪い分も
あるので見比べ、検証しながら調整していくことが必要です。
この作業が、結構たいへんです。
感情が入るので、やり方を採用されない側の抵抗もあります。
解決には、時間が掛かる場合も多いのが現実です。
でも、これをガラス張りでしっかりやらないと、
マニュアルという厚いファイルはできたが、誰も納得していないので
使われずに終わるという最悪の事態にもつながります。
マニュアル制作には、大枠で
この3つのコストがかかるのです。
「マニュアルって、いくらくらいでできますか?」
この問いに、答えるには
3つのコスト構造を理解する必要があります。
この図解の
A < B < C < D < E < F の順でコストが変わってきます。
マニュアルを安く早く創りたい依頼会社は
図解で示している「A」で発注することです。
自社で「何も考えない・書かない」で発注すると
・どれだけ時間がかかるのか?
・確認して調整することが必要なのか?
受注側は見えません。
見えないモノには、安全度を高めた見積しかできません。
当然、高くなります。
発注する場合には、A~Fのどこで
依頼するのか決めて見積依頼されることをお勧めします。
それと..
マニュアル作成の最も重要なことがあります。
マニュアルというと
社員をロボット化して作業効率を上げるというように
マイナス面のイメージが大きいのですがそれは間違いです。
変化の激しい時代には
現場の担当者が、変化に気がつきます。
その「気づき」を材料に
成果を生み出す仕事の仕組みをどんどん変える
それが必要です。
現場から離れたところで、現場を理解しないで
「こうやるべき!」と作成したマニュアルでは
役に立ちません。
役に立たないのは現場がすぐに分かります。
でも、上からの指示には反論できないので
「分かりました」と受け取って
使っているようなふりをするしかありません。
これだと、現場のみんなの「頭」を活かせません。
現場で考えて、仕事の仕組みを変えて、
結果を実感し、変化に対応していく
「PDCA」を現場でやる。
その基盤が、現場のみんなで作成したマニュアル!
みんな作成し、みんなで改善し続ける。
ボトムアップで改善していく土台として
成長し続けるマニュアルを考えてみることが必要です。