「考える仕事」を放棄して作業に逃込んでいないか?
私は、若いときに何度か転職しました。
新しい会社に入るたびに「早く仕事を覚えよう」と
いつも考えていました。
誰でも、このように
新人で会社に入ったら
「早く仕事を覚えよう!」と考えます。
翌年に後輩が入ってきたら
「早く仕事を覚えてもらおう!」と考えます。
数年たち職場のリーダーになると
「いかに、新人を育成するか!」がテーマになります。
誰でも、「仕事は、覚えるもの」と
考えているのではないでしょうか。
現場の仕事には
間違いなく「覚える仕事」があります。
「覚える仕事」とは
・成果のでる手順
・上手くやる方法
を覚えて、習熟度を高めて
行動して成果を出すことです。
新人教育では
「覚える仕事」を教えることで
早く成果を出せるようにすることです。
精神論も大切ですが
成果につながる行動を教えることが重要です。
でも、
覚えたこと、指示されたことだけを
一生懸命やっただけでは、高い評価は得られません。
「覚える仕事」の習熟度を高めて
期待した成果を出せるようになった上で、
「覚えた仕事のやり方」を土台に
どんどん改善のアイデアを出して
・成果のでる手順
・上手くやる方法
改善し続けることが求められています。
これが「PDCA」です。
昔は、現場の担当者は上司の指示に従って
作業していけば良かったんです。
上手くいかなければ
・上司の指示が..
・会社の仕組みが..
・組織の文化が..
・社員教育もしてくれない..
などと赤ちょうちんで愚痴を言っていても通用しました。
でも、これからは
現場にも「考える仕事」が要求される比率が高まっています。
その期待に応えられないと..
どんどん単純作業に追い込まれ
安い給料で長時間労働を強いられ
最後は解雇へ..
では、
管理職は、どうでしょうか?
現場が決められた通りに動いているか?
それだけを管理・監督するだけで
管理職の仕事を全うしたことになるでしょうか?
管理職の大きな役割は
成果を生み出す
・成果のでる手順
・上手くやる方法
を現場の改善を超えた範囲で変えていくことです。
これについては
組織学者アージリスは
「シングルループ学習・ダブルループ学習」
という言葉で定義しています。
シングルループ学習とは、
すでに備えている考え方や行動の枠組みによって
現場の問題解決を計っていくこと。
現場で改善していくやりかたです。
ダブルループ学習とは、
従来の事業の枠組みを捨てて
新しい考え方や行動の枠組みを取り込むこと。
経営者・管理職が改革していくやり方です。
神田昌典氏は
メルマガ、「仕事のヒント」神田昌典365日語録の中で
事業の方程式が収入を決める。
そして借金の額も決める。
と言われています。
「考える仕事」は、
成果を生み出す仕事のメカニズムを
どんどん変えていくことです。
でも、率先垂範と言いながら
現場の作業に逃げ込んでいないでしょうか?
「考える仕事」は簡単に成果が見えません。
3日間こもって考えても
いいアイデアが出ない場合も多いです。
だから「現場の仕事が忙しい」と言って
現場の作業に逃込めば、自分が頑張った結果が見えます。
これだけ仕事が進んだという手応えを感じられます。
自分にも他人にも言い訳ができます。
でも、「考える仕事」で得られるはずの
仕事の改革は遠のきます。
社会の変化によって
昨日と同じことをやっていては
だんだんじり貧になります。
管理・監督しかしてこなかった人は
「今までのやり方で、もっと・もっと..」と
長時間労働や量をこなす改善策しか出せません。
昔なら、それでも何とか生き残っていけたでしょうが
これからは無理です。
経営には、この2つが必要です。
●経:考える仕事
どう行動すれば成果がでるか考える
経典の「経」、考えたことを書き記したもの
戦略
●営:行動する仕事
行動して成果を出すこと
運営の「営」、営む・オペレーション
戦術・戦闘
戦略の失敗は現場ではフォローできません。
逆に戦略が素晴らしくても現場がダメだと成果は出ません。
「考える仕事」、「行動する仕事」は
どちらも重要です。