「現場の知恵」を蓄積・活用する「考動知図」

「現場の知恵」を積上・活用する「考動知図」(こう・どう・ち・ず))

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01月

抽象度を上げて「競争の次元を変える」

図解:抽象度を上げて「競争の次元を変える」

地方では車が生活に必要です。
無いと勤めも買い物もほとんど無理です。

当然、飲みに行くにも車で送ってもらうか、
自分で飲食店まで車で行って、帰りに代行を頼みます。

地元で運転代行を調べると9社があります。

こんなに狭い地域で、9社もあるのですから
何もしなければ、たくさんの中の一つとして埋没です。

どうやって頭一つ抜け出せばいいのでしょうか?

料金を安くする?
ポイントカードの導入?
笑顔の接客?
などなど、いろいろ考えられると思います。

でも、これでは...いつまでたっても
他の代行業者と競争し続けることになります。

代行を頼むのは、酔った客です。
求めるのは安全に自宅に車と自分が帰るだけ。
時間感覚が甘くなるので長く待たされたりします。
だから、料金を安くするにも限界があります。
成果や仕事品質で差別化がしにくい仕事でもあります。

では、どうやって同業他社との競争から抜け出すか?!

ある県で、車3台で運転代行業を立ち上げた会社がありました。

この会社は、運転代行業の経験をもとにして
運転代行業に特化したシステムを開発しました。

このシステムを、他の運転代行業者に利用してもらうことを商売にしたのです。

このことにより、競合相手とお客の争奪戦に悩むことから
抜け出すことができました。

現在は、従業員数90名となり
 ・自動車運転代行業向け業務支援システムの開発・販売・システムレンタル
 ・自動車運転代行ビジネスのフランチャイズ展開
 ・介護タクシー事業
等に広がっています。

現状を改善するには、
同じ水準で考えるだけでなく
抽象度を大きく高めて考えることが有効です。

今の、事業を考えなおしてみませんか!?

図解での構造化例「年収一千万円越が自慢の営業マンが独立」

図解っで構造化例「年収一千万円越が自慢の営業マンが独立」

図解で構造的に考えた事例です。

もうかなり前のことです。
当時、私は独立して5~6年くらいの37~38歳くらい、

高輪にある小さな会社で知り合った営業マンとの体験です。

その会社は、個性的な会長と社長のコンサルとしての力と、
優秀な経営分析のソフトの販売を合わせて行う会社でした。
小さいけれど、魅力的な会社でした。

勤めていた会社は、彼は、34歳だったと思います。
営業マンだった彼は、若いのに年収1千万円が自慢でした。

営業のやり方は、経営分析の本の読者や講座の参加者から見込客を誘導していました。
そのフォローをしていくのが営業としての彼の仕事でした。

私が本の読者であり、講座に参加した受講者だったので、
彼と出会い、時々お茶やお酒を飲むようになりました。

個人的な話もしていたので、
彼から
「会社の上司から評価されていない」とか
「もっと評価して欲しい」
という言葉が出ていました。

34歳で年収1千万円もらっているなら十分だろと思うのですが、
彼には不満だったようです。

ある時、「独立したいので相談にのって」とメールがきました。
当時のメールはニフティです。
懐かしいですね。

そこで、このように返信しました。
  『事業内容や商品は決まっているの?
   自分のやりたいことを、欲しい人がいて
   欲しい人を満足させる実力があると
   その実力レベルの収入が得られるよ
   それが、独立だよ』

と送りました。

彼から返信が来たのですが、
そのことに関してはコメントがありません。
会う日程の調整だけをやりとりしました。

渋谷で会って、彼の行きつけのお洒落なお店に入りました。

その時、彼はすでに退職していました。
私から独立への体験談を聞きたかったということです。

でも、独立するのに、
事業内容が、まるで何も決まっていません。

そこで、私が彼にアドバイスしたことは
メールで送ったことと同じです。
  『事業内容や商品は決まっているの?
   自分のやりたいことを、欲しい人がいて
   欲しい人を満足させる実力があると
   その実力レベルの収入が得られるよ
   それが、独立だよ』
です。

でも彼から返って来た言葉は、
   『池田さんは、厳しい』 でした。
厳しくなんてありません。

これは、独立したら当たり前のことです。

彼はビジネスの内容も販売する商品も決まらないまま
会社を辞めていたのです。
でも、「自分はできる」という気持ちだけだったのです。

当時の彼は、結婚もしていて、
七千万円ほどのマンションも買ったばかりとのことです。
大丈夫なんだろうか?
と、余計な心配までしまいました。

半年ほどしてから彼から葉書がきました、
新しく事業を立上ましたという案内です。
事業内容は、コンサルタント、マーケティングリサーチ、
経営支援、ホームページ制作...となっています。
何だか格好の良いカタカナが並んでいます。

私の想像では
 ・数ヶ月かかって自分探しをして、
 ・とりあえず自分にできそうなホームページ制作になり、
 ・コンサルタントとかマーケティング
という言葉を並べて格好をつけたのでしょう。

そのホームページ制作も
当時はやり始めていたので営業で受注して製作は外注だろう
と想像としていました。

そして...
2年後くらいに会いたいと連絡がありました。

今度は、神田の駅のホームで待ち合わせです。
約束の時間になっても彼はきません。
携帯電話での連絡もありません。

どうしたんだろう
私は、待ち合わせで相手から連絡が無くても30分は待つと決めています。
本を読んだり、メモ帳で考えたりすれば時間はあっというまに過ぎます。

30分過ぎたので、そろそろどこかに入って一杯飲んで帰ろうかと思っていると、
電車が着いて、ホームの向こうから彼が歩いてきます。

私が、相手を待たせたなら、
急いで駆けよるのにと思いましたが、
彼はゆっくり歩いてきます。

話を聞いたら、事業は上手くいかず
離婚しマンションも売ったとのことです。
そして、食品会社に就職したとのことです。
でも、名刺も出しません。
うつむきながら話してくれました。

就職したという食品会社の事業内容や担当している仕事の話も
とりとめもなく、何だかよくわかりません。

もう、数年前の背筋がピンとした優秀な営業マンの雰囲気
はありませんでした。
とても、もったいないと思った体験です。

それ以降、彼からの連絡はありません。
年賀状も住所不在で届きませ。。

この体験を、図解で構造化して考えました。

独立する人には、この2つのタイプがあります
 ・自分の努力や能力で成果を上げた人
 ・会社の仕事の仕組みにのって成果を上げた人
どちらが独立して成功するでしょうか?

もう、誰が考えても分かります。

よく、こんな事を聞きます。
大企業にいた人や公務員だった人が独立すると上手く行かない。

私も何人か見ています。
同じ個人事業主同士なのに、
自分の方が上だという上から目線で
私を出入り業者のように扱う人がいました。
同じ立場だということが理解できていなようです。

会社の仕事の仕組みにのって成果を上げた人は、
自分の実力で成果を上げたと勘違いしています。

会社の用意してくれた仕事環境の
重要性を理解できていないのです。

大企業や役所には、仕事を運営していく「仕組み」があります。
それに乗って仕事をしていくと、相応の成果を上げることができます。

勘違いしている人には、
その「仕事の仕組み」のありがたさが分かりません。

会社の看板も無くなり、
生身の自分が試されるということが理解できないのです。

魚には水が見えず、人には空気が見えません。
どちらも大切です。
無くなったら、生きていくことはできません。

独立したら、裸の自分しか頼れません。

意識は大きな会社の社員だった時の上から目線なので
言っている事と、できることに大きな落差があるのです。
まわりから、だんだん相手にされなくなります。
そして、多くの人は1年程度でサラリーマンに戻ります。

何とか、3年持ちこったられると、
素直に自分に足りない部分が理解でききます。
応援してくれる人に「ありがたい」と感謝できます。
どうしたら人の役に立てるかを考えることができるようになります。

今から思うと、わたし自身独立したての1~2年目はひどかったと思います。
独立当初は、仕事も途切れることなく調子よく行きました。
強気の見積もりも通っていたからです。
ちっちゃな天狗になっていたと思います。

でも、バブル景気が無くなってソフト業界の厳しい時代になりました。
私に仕事を依頼してくれた会社が倒産したり業務縮小となりました。
当然、当時の私にまで仕事が来ません。

そこで、自分で仕事を創りだす方となり提案営業をやるようになりました。
もちろん上手くいきません。
自分の力の無さを痛感し自分を変えるしかなくなったのです。
この期間は厳しかったですが、後から考えると良かったと思っています。

人を変えることも難しいですが、自分を変えることはもっと難しいです。

自分を変えることができるまでに3年くらいかかりました。
外圧が、自分を変えてくれるのです。

それから思うと、今の若い人たちはすごいです。
意識も能力も高く、行動もしています。
とても刺激されます。
気づきももらえます。
未来の日本を支えて欲しいと思います。

営業マンだった彼の場合は、
会社の「仕事の仕組み」の上で、成果を上げていたことを理解していなかったのです。
会長・社長が時間をかけて築いたことが
見えなかったのです。
理解できていなかったのです。

だから自分が独立しても同じように仕事ができると勘違いしました。
自分でゼロから築いていくということも考えていませんでした。

もったいない。
もっと彼は、自分を活かせる働き方があったはずです。
どこかで、元気に頑張っていてくれることを期待しています。

経営資源の中心要素が「知的資産」になった

図解思考:経営資源の中心要素が「知的資産」になった

経営資源とは
企業経営をするために必要な要素や能力を経営資源と呼びます。
「人・物・お金・情報」を、四大経営資源と言われています。

この中で、最も重要な経営資源は「人」です。
人が、「どう考え・どう動くか」によって大きく成果が変わります。

以前は
「人・物・お金」に「情報」をプラスして、
情報をいかに使って物の価値を高めて売るかが重要でした。

ここでは、一生懸命や熱意、誠意が土台となり
活動量の多さで頑張ることが重要でした。
そこで、顧客情報や商品情報、紹介などの情報が
役に立ちました。

今は、どうでしょうか?
誠意や情熱、一生懸命は当たり前です。

ネットの進化で、顧客の方が商品情報を持っている
といことも普通にあります。

もう、単なる情報という位置づけでは競争力は得られません。

顧客が、商品やサービスを購入するのは
自社の問題を解決するためです。

そのために必要なことは問題解決力です。

単なる商品情報ではありません。
顧客を良く知るための顧客情報だけでもダメです。

顧客の問題解決を効率的に提案するには
組織に「知的資産」が蓄積されていることです。

組織に、蓄積していないとしても
優秀な社員がいれば売れます。
顧客に頼りにされ信頼もされます。

でも、その優秀な社員が辞めたらどうなるでしょうか?

個人の頭の中にある「知的資産」が無くなります。
組織には、何も残りません。

一番、まずいケースは同業他社への転職や独立です。
優秀なら優秀なほど、会社の痛手は大きくなります。

組織として「知的資産」を持っていれば
優秀な社員が辞めても痛手は最小限で食い止められます。

組織に「知的資産」を積上げるということは
文書にして共有するということです。
これができると、組織の誰もが使うことができ、
使った経験をもとにブラッシュアップすることができます。

優秀な個人の頭の中に「暗黙知」として入っているだけだと、
効率的に教えあうことができません。

組織に「知的資産」を積上げるために、
もっとも大変なことは文書としてアウトプットすることです。

現場で優秀でも、なかなか書けません。
行動できても、言葉で説明することはできますが、
紙にはなかなか書き出せません。

それが普通です。
書く訓練をしていません。
書き出す情報を構造化する訓練もできていなののです。

「知的資産」を積上げるために、図解思考は有効です。
私は、仕事をしながらコツコツ書き貯めました。

今回、紹介している図解もその一枚です。

図解で構造化すると、自分の理解も確認でき、
見た瞬間に理解してもらえます。