「現場の知恵」を蓄積・活用する「考動知図」

「現場の知恵」を積上・活用する「考動知図」(こう・どう・ち・ず))

TEL.025-531-1151 

〒942-0036 新潟県上越市東中島1943-91

  hidetoshi@teoria.co.jp
07月

買う立場で研究しない健康食品の営業マン 

図解:買う立場で研究しない健康食品の営業マン 

もう、20年近く前のことです。

ある営業マンの勉強会に参加した時のことです。

大手のメーカーの技術者だった人が、
健康食品の製造販売を行う会社を立ち上げたと言うことです。

会社を立ち上げたばかりで、
社員は、自分一人ということです。

製造は外注し、
社長の自分は営業マンとして
営業活動を開始したばかり。

勉強会の終わりに、順に自分の仕事の紹介の時間がありました。

その時、
彼は、新しい健康食品だと言うことで
私たちに自分の商品を説明したのです。

でも、開口一番のトークが
  ・これは良い商品です
  ・見てもらえば分かります
と言って小分けされ、
透明なビニールに包まれ商品を
箱から出して、1つづつ配ってくれました。

箱には、効果・効能を説明した部分があるのでしょうが、
もらったサンプルには何も書かれていません。
透明なビニールに入った健康食品です。

要するに..
営業を始めたばかりで、上手く説明できなかったので、
「見てもらえば分かります」と言うしかなかったようです。

こんな状態ですから、彼の説明も要領を得ません。

中高年になって健康食品の会社を立上て
営業を始めたばかり。

健康食品の販売は..
彼が、それまでやってきたことと、大きく違います。
だから、こんな説明になってしまったのでしょうか?

これでは、
まじめさ・一生懸命さは伝わっても、
その健康食品のコンセプトも良さも、
伝わってきません。

何を伝えたら良いのか、
どう説明して良いのか、
まったく整理できていないのです。

「良い商品です!」と売込に一生懸命です。
だから、どんどん苦しくなります。

その健康食品の説明資料もあったのですが
しっかりした裏付けもなく、
口当たりの良いキャッチコピーが並んでいるだけでした。
彼が考えて作ったようです。

これでは聞きたい、読みたいと思えません。

当然、買って食べてみたいとも思いません。

彼は、もともとは技術者だったはずなのに..
 ・技術者だったら、裏付けは?
 ・健康になるメカニズムは?
と突っ込みたかったですが..

配られたサンプルをもらって帰ったのですが..

調理しないと食べられないのと、
一個だけなので、調理も面倒なので、
棚に置いておいたら..

いつの間にか、家族に捨てられていました。

もらったものは1個だけないので
1個食べても、
良さを実感もできないでしょう。

結局、
会って、サンプルを配ると言うコストをかけても、
先につながりません。

とても、もったいないと思いました。

営業を成功させるには
  ・商品のコンセプトや機能を分かりやすく整理し
  ・商品の強みや特長・効能を分かりやすく表現し
  ・効能の証明や裏付けをもとに
  ・どう顧客の満足につなげるか
という組立てをすることが必要です。

彼は、経営者として..
自分が買う立場になったら、
 ・商品を見て、何を感じ
 ・どういう条件で買う気になるか?
そこの整理から始めれば良かったのです。

もし彼が、
いろいろな健康食品を購入して
その売り方を研究していたら、
こうは成らなかったと思います。
  ・説明の仕方
  ・資料の作り方
  ..
もっと考える余地があったと思います。

これでは、
お金も時間も労力も無駄になってしまいます。

もったいないです。

現場の仕事は、現場で教えていると言うが...

図解:現場の仕事は、現場で教えていると言うが...

「現場の仕事を教えていますか?」と聞くと、
我が社は「現場に入れてしっかりOJTしているよ!」
という返事がかえってきます。

でも、こんな悩みがあります。

同じような意慾・能力の新人を入れて
OJTを任せても
教える担当者によって結果が違います。

悩みは..
  ・A係長に任せると、
   いつもできる社員が上手く育つ

  ・B係長に任せると、
   いつも社員が育たない、時間がかかる
   すぐに辞めてしまうこともある

教えるのが下手なB係長に
「何を教えているんだ、ちゃんと教えているのか?」
「お前の、教え方が悪いんだ!」

と課長、部長からお叱りがあります。

A係長とB係長何が違うのでしょうか?

実は
 ・教える内容が違います
 ・教え方が違います
ここに問題があります。

現場に丸投げするので
担当者によって
 ・教える内容が違い
 ・教え方が違う
これが当たり前です。
人によって、持っている知識・経験が違うからです。

教える人の知識と経験が、教育の上限になってしまう!

問題は

   会社が組織として

   社員に「何を教えるか!」
      「どう教えるか!」

   組織としてコントロールしていない

これです。

職場によりますが、現場はかなり忙しいのです。

何も知らない新人に手とり足とり教えている
余裕が無いのが現実です。

教えると言うことは、大きな負荷のかかる仕事。
だから、つい忙しさにかまけて後回しになります。

目の前の作業のやり方を教えて
「やってみて!」指示をするだけで
OJTをしていると思いこんでいると危険です。

仕事を教えることに必要なことは

 1.誰が教えても
   教える内容が確定していて、漏れが無い

 2.誰に教えても
   誰にでも結果を出せる作業に細分化して教える

 3.同じ成果を出す
   再現性のある作業を教えて成果を出させる

これが必要ですが...

優秀な社員に教育を丸投げにしておくと..
会社が組織として、
教える内容や教え方をコントロールできなくなります。
会社としてのノウハウの蓄積もできません。

能力の低い社員に任せるとと..
しっかり教えられないので
使えるようになるまで時間がかかります。
それは採用の投資効率をどんどん悪化させます。

経営者の悩みの根本の原因は..

会社として
 ・仕事の標準が決まっていないから、
  教えられない。

 ・仕事の経験を蓄積していないから、
  伝承できていない。

優秀な社員が辞めない事を祈るか、
教えなくてもできる優秀な人が欲しいと悩むか..
どちらも経営者の苦労が続きます。

「教える内容・教え方」の蓄積がないのです。
経営者は「しっかり教えろよ!」と言うしかありません!

もったいないです。